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オカシ屋サン
第2章 ホワイトチョコドーム①
──
「あ、あの…」
「どうしましたか」
「このお店は…?」
「なかなか良い雰囲気でしょう? 大学にあるレストランに、負けず劣らず」
「たっ確かに素敵なお店ですけど…っ」
佳代子さんがまともに動けない隙に拐ってき……ゴホゴホ、いえ、連れてきたのは
薄暗い中にオレンジ色の照明がポツポツとぶら下がっている小さなカフェ。
僕たちの他に客はいない。
店員すらいない。
埃のひとつもないピカピカのカウンターとテーブルセットが並ぶだけで、動くものがひとつもない空間だ。
僕の向かいに座らされた佳代子さんは、そんな暗い店内のせいで緊張している。
「このお店、どうして誰もいないのですか…?」
不安に思うのも当然だろう。僕が反対の立場なら悪徳商法に引っ掛かったと思って、高額な水晶玉を買わされる前にとっとと逃げ出します。
「まだ開店前なんですよ」
「開店前と言っても、ここはカフェじゃあ…? もう夕方なのに開いていないなんて変です」
「ここは深夜しか営業しません。そして──…飲み物は紅茶か珈琲。出している軽食はスイーツのみ」
「スイーツ、だけ…?」
「深夜にスイーツなんて背徳的でしょう?」
まぁドアの鍵は閉めておいたので逃げることは不可能ですが…ね。