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オカシ屋サン
第2章 ホワイトチョコドーム①
本当は目を見て話したいが仕方がなかった。
「──…気になりますか」
「…だって…ッ…だって、わたしは初めての…!!」
表情すらも見れない僕は、声だけを頼りに彼女の本音を推測する。
今、君は怒っている?
いいえ…違いますよね。
「僕がキスをしたのは、君がどんな女(ヒト)かをもっと深くまで知りたいからです」
「……どう して?」
「──…」
「わたしは先生と初対面ですよね。そんなわたしをどうして知りたいなんて…」
「初対面だからこそ。僕は君の本心を理解して…そして、君に相応しいお菓子を探し出す必要がありますから」
「えっ、お菓子……!?」
「ええ、お菓子」
「……!」
僕の言葉を冗談とでも思ったのだろうか。やっと顔を上げた佳代子さんはガチガチの表情筋を少しだけ弛めた。
つられて気を抜いた僕は「これでも本職はお菓子屋ですから」と言いかけ、そういえば今は大学の助教授だったと設定を思い出す。危ない危ない。