この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
オカシ屋サン
第4章 バスク風チーズケイク①
到着目前にして一方通行の狭い道が現れる。
仕方がないので離れた所に路駐して、荷物を取り出し少し歩いた。
人通りはない。
いかにもな"元"商店街で、昼間にも関わらずあちこちでシャッターが下りていた。
…で、この黒塗りの古民家が届け先…か。
ここは営業してるっぽいな。
「こんちわー。〇〇急便でーす」
ガラガラっと引戸を開けて俺は中に入った。
“ 誰もいねぇ ”
入ったそこはケーキ屋だった。
ただ人がいない。店員も、客も。誰もいない。
やっていけてんのかよこの店。
「もしもーし!こんにちはー」
何度か呼びかけたがどこからも返事が無い。
不在中か?
でも店は開いてるし…店員はいる筈だろう。
たまたま時間に余裕はある。店員は便所にでも行ってるのかもしれないから、少しだけここで待つ事にする。
“ 路駐してるトラックが気がかりだけど ”
俺は荷物のダンボールを持ったまま店内を見渡した。
入った直後は何も思わなかったが、小綺麗で雰囲気の良い店だ。
こういうレトロなケーキ屋って女の子達に人気だと思うけど、客がいないのは意外だな。写真映えしそうなのに。
あーでも売ってるケーキが地味だわこれ。ショートケーキとか定番のしか無い。
こっちの棚に置いてあるクッキーは種類多いのにな〜。
って、何だこれ。「落雁」??
どう読むんだわかんねぇ。