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オカシ屋サン
第4章 バスク風チーズケイク①

到着目前にして一方通行の狭い道が現れる。

仕方がないので離れた所に路駐して、荷物を取り出し少し歩いた。

人通りはない。

いかにもな"元"商店街で、昼間にも関わらずあちこちでシャッターが下りていた。

…で、この黒塗りの古民家が届け先…か。

ここは営業してるっぽいな。

「こんちわー。〇〇急便でーす」

ガラガラっと引戸を開けて俺は中に入った。



“ 誰もいねぇ ”

入ったそこはケーキ屋だった。

ただ人がいない。店員も、客も。誰もいない。

やっていけてんのかよこの店。

「もしもーし!こんにちはー」

何度か呼びかけたがどこからも返事が無い。

不在中か?

でも店は開いてるし…店員はいる筈だろう。

たまたま時間に余裕はある。店員は便所にでも行ってるのかもしれないから、少しだけここで待つ事にする。

“ 路駐してるトラックが気がかりだけど ”

俺は荷物のダンボールを持ったまま店内を見渡した。

入った直後は何も思わなかったが、小綺麗で雰囲気の良い店だ。

こういうレトロなケーキ屋って女の子達に人気だと思うけど、客がいないのは意外だな。写真映えしそうなのに。

あーでも売ってるケーキが地味だわこれ。ショートケーキとか定番のしか無い。

こっちの棚に置いてあるクッキーは種類多いのにな〜。

って、何だこれ。「落雁」??
どう読むんだわかんねぇ。

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