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オカシ屋サン
第4章 バスク風チーズケイク①

「サインはここで?」

「あ、はい、そのへんにお願いします」

そいつは荷物の伝票にペンでサインして、控え以外を俺に差し出した。

俺はカウンターまで駆け寄って伝票を受け取りながら軽く礼をする。


「ありがとうございましたー」

「……フ」

「……??(いまフって笑ったか?)」

「……それで?
お客さまはそちらの商品をお求めなのですか?」

「は?えっとだから俺は客じゃなくて…──あ」


何言ってるんだ?

俺はわかりやすく怪訝な顔をして見せたが、伝票を受け取ろうと前に出した手に、あの木箱がまだ握られていたんだ。

男が笑うのも当たり前だ。

これじゃあ泥棒するみたいじゃん。

“ 棚に戻したと思ったのにっ…なんでまだ持ってたんだ? ”

「すいません!すぐ戻します!」

「…おや、戻されるのですか」

「はいべつにこのまま盗んで帰るつもりだったとかじゃあ…──ッ、……え?
商品? これも……商品なんですか?」

「そうですよ」


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