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オカシ屋サン
第4章 バスク風チーズケイク①


「これは僕の勘でしかありませんが──
どうやらお客さまには、その桐箱が早急に必要なのではと思いまして」

「俺に……?」


どういう意味だよ……?

そんな事言われたって、俺にはクッキー贈るような相手なんてひとりも…… 

「……!?」

いや、待て、この箱

裏に何か文字が彫ってある!

“ なんだなんだ?なんて書いてある? ”

文字に色が付いてないからパッと見はわからない。けど箱の角度を変えて注意深く見れば、そこに彫られている文字を読むことができそうだった。

仕事中だってのに、目の前に人がいるってのに、俺は好奇心に負けてその文字を読もうと集中した。


「……ア……ナタ…ハ」


貴方は


「ダレ……?…………カヲオカ、……シ、…タイ…ト」


誰かを犯したいと


「ネガ…ッタコトガ……アリマセン……カ」



....



「犯したい…!?……ッ……おかし……?……は?何だこれ…!?」

「………」

「あ、ああ!お菓子か!……お菓子(贈り)たいって意味だこれ……!!」

「…いないのですか?」

「……っ」

「犯したい女が……貴方にはいるのでしょう?」


文字を読んだ俺は、きっと違う《オカシ》なんだと思い込もうとしたのに

目の前の男が慌てる俺を嘲笑して、これが《犯し》であると教えてきた。

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