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オカシ屋サン
第5章 バスク風チーズケイク②

「ビ、ビー玉ぁ…?」
キラキラ光ってて…
でも俺の部屋にビー玉なんて落ちてるわけない。
そう、か
これ……
「さっきのアメか……」
ベッドに投げた箱から転がり出て床に落ちたのか。
オカシ屋が入れ間違えたに違いないその飴玉は、人の気も知らないでコロコロと呑気に動いてる。
こんな物に用は無い筈なのに
「……」
俺は、転がるそれを拾い上げていた。
さっき思いきり踏み付けたけど砕けていない。
傷のひとつも無い。
ビー玉かと見間違えるくらい歪みのない球体で、そしてツヤツヤと光っている。
“ 綺麗だ…… ”
ガラにもなくそんなふうに思う。
綺麗で、魅力的だった。
たかがアメのくせに。
飴玉なんてどこでも手に入る安いお菓子だ。たとえ子供だって今の時代、飴玉をもらって喜んだりしないだろう。
なのに俺は惹き付けられた。
“ めちゃくちゃ……うま、そう ”
今だけは、この飴玉が世界中のどんな料理よりも美味そうに見える。

