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オカシ屋サン
第5章 バスク風チーズケイク②

「……はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……!!」
次に目を覚ました時
俺は……もとの部屋に戻っていた。
初めに見えたのは天井の丸い蛍光灯。
物が散乱したいつもの部屋の床に、俺は仰向けで倒れていた。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
自分の心臓の音がうるさいくらいデカくて、脈の速さが尋常じゃない。
ああー…戻ってるよ。
正真正銘の、きったない俺の部屋だ。
誰もいない。三恵さんもオカシ屋もいない。俺ひとりだ。当たり前だ。
“ あめ……口の中に入れたあめ玉、もう溶けてなくなってやがる ”
舌の上に貼り付いた甘さのおかげで、あめ玉を食べたところまでは現実だった事を知る。
他はぜんぶ夢だったのか……。
すげー夢を見させられた。
首をひねって自分の周りを見ると、くしゃくしゃに丸められたティッシュペーパーがところせましと投げ捨ててある。

