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第14章 一線ｰ離される距離

「‥‥‥マスターは何がなんでも止めると俺は思っていた」


「‥‥‥何故？？」


「毎日こうして『涼風』に通って気付かないと思うのか？
‥‥バレバレだったよ、特に舞ちゃんだがな」


「・・・・・・・・」


何も無い振りをしていても、人というのは直感的に見ているもの‥
毎日来る宮村さんだったら、僕と舞の感情がバレていて当たり前か。



「どうして止めない？
理由はどうであれ、どんな間柄であれ、マスターが引き止めないなどおかしいだろ？？
マスターの舞ちゃんに対する気持ちは、そんなものだったのか？」


「っ！
違うっ！！」


宮村さんの言葉に、僕は反射的に叫んでいた‥‥


誰が好きで舞を手離すものか！
漸く手に入れた愛しい存在、今だって奪い返したくて堪らないというのに！！



「違わないだろう？
舞ちゃんは出て行き、マスターは此処から動かない、本気ならなり振り構わず離さないと俺は思う」


「‥‥‥僕は‥‥‥」


なり振り構わず‥‥
それが出来たら‥‥
だが僕は此処から離れられない、『涼風』だけが僕の居場所。



「本当に理由は分からないが‥‥
逃げれば良いだろ、俺だったらそうする‥‥世の中に１人くらい、逃げても縛っても良いから一緒に居たいと思うような女が居たって不思議じゃない」


「逃げる‥‥
でも僕は此処からは‥‥‥」