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シミュレーション仮説
第1章 性欲に翻弄される少女
「帰るの?」
「あ、うん…何か調子悪くって」
「そっか。途中まで送っていこうか?」
「…陽一君、部活は?」
「今日は休み、ほら」

 陽一はズボンの足元を捲って見せる。足首にはテーピングが巻かれていた。
 先日の部活の練習中、足を挫いていた。

 そういえば体育も見学してたな、と美憂は思い出す。

「今日は病院なんだよ。方向一緒だからさ」

 美憂と陽一の家も、そこからさほど離れていない病院も同じ方向にあった。

「行こうぜ」

 陽一が先に歩き出す。彼も告白した手前やや気恥ずかしいのだろう。

 陽一の後ろ姿を見ながら、その背中に飛びつきたい欲求を美憂は覚える。
 抱き着いて体を寄せ、そして手を股間に伸ばす。きっと抱き着いた時からもう陽一君のあそこは硬くなっている。

 それを手で握り頬張り、そして自分の体に突き立てられて…

 はっ、と美憂は我に返る。

 恥ずかしい、こんなこと考えて…
 してほしい、想像よりももっといやらしいこと…

 再びふたつの思考に翻弄される美憂は陽一との会話にも身が入らず生返事をしながら歩く。

 熱っぽい視線を向けたかと思うと急に視線を逸らす。声をかけても上の空だ。

 告白したことがよくなかったのか、と陽一は悩む。
 告白したせいでこんな気まずい空気になってしまったのか、と。
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