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第3章 夫への愛を失くした女

「原因が判らない？」
「はい…申し訳ありません」

　医師は恵子に申し訳なさそうに頭を下げる。

「体はいたって健康。むしろ若々しくどうしたらここまで健康でいられるのか、こちらが聞きたいくらいです」
「でも、夫は…」
「すいません、本当に原因が判らないのです。あらゆる可能性を考え全ての検査をしました。他の医師にも意見を求めましたしが何も異常が見つからない。
　つまり肉体的な異常や欠損はありえない、むしろ徹底的な検査によって肉体の健康さが証明されてしまったくらいです。しかしそうなると勃起不全の理由が説明出来ない」
「その、体じゃなくて精神的な問題とか」

　なおも食い下がる恵子に医師は丁寧に言葉を連ねる。

「それも考えました。先ほども申しましたようにすべての可能性を検証しました。しかそそのどこからも全く何の異常も見つけられなかったのです」
「…つまり、治せない？」
「そういうことになります…大変お気の毒ですが」

　恵子は肩を落として夫の元へと戻る。