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終わりの向こう側
第6章 卍(まんじ)
「この数か月、仕事上でも色々あってね。
私自身、あなたといる時だけが
心の平衡を保ててたと思う。
で、年末に主人に
『もう行くのは止めてくれ』って
言われて泣かれたの。
あなたも会ったことがあるから
解ると思うけど、あの
プライドの高い主人が私の前で
号泣して『行かないでくれ』って
哀願するのよ。やっぱり夫婦だから
そんな情けない夫は見たくなかった。
毅然とした態度で叱って欲しかった。
でもそんな主人を嫌と思うより
可哀そうになったの。だから
あなたに嘘を言ってお正月は家にいたの。
そして、あなたとはもう
会わないって約束したのよ。
でも、あなたの事だからそれで
終われるとは思わなかったけどね」
背中を向けているので
早百合の表情はわかりません。
でも落ち着いた口調なので
本心を語っていたと思います。
私自身、あなたといる時だけが
心の平衡を保ててたと思う。
で、年末に主人に
『もう行くのは止めてくれ』って
言われて泣かれたの。
あなたも会ったことがあるから
解ると思うけど、あの
プライドの高い主人が私の前で
号泣して『行かないでくれ』って
哀願するのよ。やっぱり夫婦だから
そんな情けない夫は見たくなかった。
毅然とした態度で叱って欲しかった。
でもそんな主人を嫌と思うより
可哀そうになったの。だから
あなたに嘘を言ってお正月は家にいたの。
そして、あなたとはもう
会わないって約束したのよ。
でも、あなたの事だからそれで
終われるとは思わなかったけどね」
背中を向けているので
早百合の表情はわかりません。
でも落ち着いた口調なので
本心を語っていたと思います。