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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第2章 新たな企み

「そんな事言うと思うか?アイツらが」
私とは対照的にあっけらかんとしているテヒョンは私のフィリップモリスから慣れた様にタバコを一本取り出した。
「あの子達は、帝国グループ会長の子どもなの。どんなに普通に育てても本当の普通にはなれない。」
「だから?」
「だからって……。育てられてないとか、そう思う様な機会が他の子よりも有るはずでしょうってことよ。」
「それがお前が反対した一番の理由か?」
「──。」
「沈黙は正解を意味するってお前が昔言ってたけど、そのものだな。」
アンタも時に、同じ行動をしてるよ。っていう突っ込みは控えておこう。きっと今はそんな場面じゃない。
「あのなあ、俺とアボジを見てお前は何を思った?お前は──俺とアボジを引っ付ける時に何が一番重要だと自分にも俺にも言い聞かせてた?」
「……。」
「"血"だろ。」
「お前の言う通り、アイツ達は俺達の子どもだ。きっと公立の高校に通わせても何をさせても『完全なる普通の生活』は出来るはずがないしアイツ達もしないと思う。」
「だからこそ、お前が恐れている事を言い出すであろう思春期はアイツ達にとって死ぬほど大事なワケなんだよ。」
「でもアイツ達は思春期までも日本でお前と離れて過ごすワケじゃねえだろ。まず第一に、お前が日本に行くことも学校休ませてこっちに来させることも可能なんだよ。」
「俺とアボジみたいに……大人と子どもの狭間で揺れる時期に、ややこしい事をするワケじゃない。」
「多感な時期に、アイツ達がグレても何してもお前が黙って味方で居てやればいいんだよ。」
「じゃあ例え六歳から八歳までの二年間、離れて暮らしてたって年に五回、六回しか会わなくたって、そんなもん取り返せるしアイツ達は気にしない。」
「お前、俺とアボジ見てて分かんねえか?」
「子どもの成長に一番大事なのは、親との絶対的な信頼関係だ。そこに時間、場所、空間そんなの関係ねえんだよ」
「絶対的な味方で居てやれば……それだけで子どもってのは親を尊敬して、敬うもんだ。」
「『今の』俺とアボジみたいにな。」

