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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第7章 記念すべき四月
「日本に居る韓国籍の子供達がこの前から誘拐されてるねん。」
「肝臓とか眼球、まあ"売買出来るモノ"は全部抜き取った状態で発見された。今朝見つかった子で六件目の犯行になる。」
「……はあ?」
咄嗟に英語でテヒョンに通訳をした。
そんな事件──私達は知らない。
「まっ、まさかそれがテテとアイ「大丈夫、安心して。それは違うから」
「じゃあ何でお母さんが、韓国に?もしかしてその事件が気になったってこと」
「だって不思議やと思わん。」
彼女のネイルは、薄い紫色のフレンチだった。春らしくて大人の女性という感じ。
ビールグラスをゆっくりと机に置くその仕草さえも上品に見える。
「その事件さ、話によるともう六人目の発見なわけやで。」
「それやのに日本のメディアも韓国のメディアも報道してない。それがアンタらが知らんかった何よりの理由やろ?」
「私は……アボジから聞いた。」
「アボジはしってるん?」
「テテとアイのことを心配した側近がどっかからのルートでその話を入手して、教えてくれたらしい。私もそこについては詳しく聞いてないけど…」
「人身売買ってことか」
テヒョンの英語を、今度は私が日本語に直してあげる。
「多分、そうやと思う。でも人を売るんじゃなくて臓器を売ってる」
「選ばれてるのは日本人の子供じゃなく、韓国籍の子供のみ。外交官の娘息子とか、それこそウチの帝国グループの社員の子とか。」
「………っ、それ何かヤバくない?」
「報道されてない理由は日本と韓国の仲を配慮してなんか、ほんまに私はそこまで分からへんねん。」
「でも一応伝えとこうと思って。」
「──内臓に肝臓に眼球に……か。どえらい土産話もってきたな、オンマも。」
「テテとアイをこっちに帰って「それはアカン」
「はあっ?何でっ」
「本人達はその事情を何も知らんから、始まった日本での小学校生活をホンマに楽しんでる──し、アンタらが居らん事で確実に成長していってる」
「アボジとクリスタルと三人で話し合ったけど、今ここであの子達を帰すのはどうやろうってなった」