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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第7章 記念すべき四月
「……で、お母さんだけ一人で韓国来たんやろ?どうしたん。」
久しぶりのテヒョンの隣。
少しだけ驚いた彼の顔を見ないフリして、運ばれてきた夕食に手をつけた。
「いやっ、アンタとテヒョンが最近どうなんやろうと思って来ただけ」
「どうって……。別に普通やけど」
「ならいいけどね。アンタもテヒョンも子供やからさ、喧嘩でもしてんちゃうかって心配やったんよ。」
「喧嘩はしてない、です。」
「──するだけの時間がないって感じやわ。私もテヒョンも何だかんだ動き回ってた一ヶ月やし。」
「あぁ、そう。」
何処からか手に入れたアサヒビールをゴクゴクと飲み干しているお母さんは、何か隠してそうな雰囲気。
私が帝国の嫁になるって言った時も、一切干渉とかしてこなかったのに、これだけの事で韓国にアポもなしで来るはずがない。
大事な孫を置いて──なおさら。
「オンマ、何かありましたか。」
同じ事を考えていたのだろう。
テヒョンが、フォークをゆっくりと置いてからお母さんの目を見て、そう尋ねた。
「……、聞いた?」
「何を?」
「やっぱり知らんか。」
「話してる時にこんな事言うの、なんか私も嫌やけど」