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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第7章 記念すべき四月
「……。」
「となれば、どこがそんな事をするか分かるか?」
「分かんない。イスラム国とか?」
「バカか、もっと身近で考えてみろよ」
「──チャイナ。」
日本鈍りの英語を呟いたのは、私のお母さん。
同時通訳してあげてたから、彼の言うことを全部理解している。
「そう。中国系のマフィアなら大いに有り得るんだよ、そういった類いの人身売買ってのは。」
「……それだと尚更、帝国のすごさを知らないから手を出す可能性が有るんじゃないの?」
「いいか、リサ。落ち着いて考えろ」
タバコ吹かしてる場合じゃないでしょ、と言ってやりたい。
でも、どこか落ち着いている彼の仕草を見てる限り──こいつの話を最後まで聞くのも有りだと思った。
「人身売買がなぜ行われるのか、臓器売買がなぜ行われるのか──それは、金になるからだ。」
「大麻も覚醒剤もそういう売買も、マフィア達は金になるからやってる。」
「じゃあな、テテとアイに関しては殺さずに誘拐して身代金もらう方が金になることは明白なんだよ」
「……あっ」
「帝国のすごさを知らないアジア人なんて居ない。」
「そんな跡取りになる大事な二人なんだ。潰し損ねたら逆に潰されることをああいう世界の奴達はよく知ってる」
「だからこそ、もしテテとアイを狙うなら傷一つ付けずに誘拐して、あくまでも潰されない様に金だけ上手に引き出せる様に誘導してくるはずだ。」
「人体の臓器を全部売り飛ばして総額三億だとしてみろ。テテに三億、アイに三億で六億を帝国から引っ張った方が賢いだろうが。」
「──アボジもきっとそれをわかってる。だから、あの人は韓国にわざわざ帰国させなかったんだ」