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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第7章 記念すべき四月
オンマはお客さん用の寝室で寝るらしい。
私とテヒョンが上がる数分前に、持ってきたハイドロゲンのセットアップを着て寝室へ向かって行った。
キングサイズのベッドは、今日はなぜか冷たく感じるなあ。
サイドテーブルに置いてあるオレンジ色の電気だって、まるで色が無いみたいだ。
横を向いて、目を閉じた時──後ろからギュッと抱き締められた。
「余計な事、考えんじゃねえぞ」
「余計なこと?」
「自分で調べようとか、何かしようとか。お前ならやりかねないだろ」
「……今は無理よ、そりゃ気になるし気の毒だとも思うけど……」
「FBKのことか。」
「うん。もう一週間でデビューなのに、あの事件も調べて──なんてことはできないもん。」
「……だな。」
低くて、心地の良い声を出している彼の顔を見たくて体ごと向きを変えた。
ほんの数センチの距離しかない私の彼の顔。間近で見てもテヒョンの顔立ちはまるで彫刻の様に欠点一つない。
「どうした。」
「……でも、テヒョンがしてくれるでしょ。」
「──。」
「きっと明日には韓国の警察と話をつけて、色々と聞き出そうってするはずじゃん。」
「テテとアイは無事でも、社員の子がそうなって……ううん、それだけじゃない。子供がそんな残虐な事件に巻き込まれてるってわかったら、じっとはしてられないのが今のあなたでしょ」
「……はあ。さすが俺の嫁だよな、ずっと側で見てるだけあるわ。」