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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第7章 記念すべき四月
──午前11時40分、テヒョンがBNに融通を効かせてくれたお陰で、オンマを空港まで二人で送ってからの出社になった。
センチュリーに乗るテヒョンの目が、どこか上の空だったところを見ると……やっぱり、あいつ自身、父親になって色々と考え込む事が増えたんだろう。
颯爽と白色のロングカーディガンを春の風に揺らしながら練習室へ向かった私だったけど、誰も居なかった為、食堂へ向かう。
──すると、案の定見つけた。
いつもの様にミルクティーやらコーヒーを飲んで、偉そうにタバコを吸いながらご飯をチビチビ食べている五人を。
「あっ、ぬな!遅刻じゃん!」
「ジュン、あたしにそんな事言う前にアンタらはどうなのよ。練習したの?」
「したよー、朝からぶっ通しでスタンドマイクも使ってダンスしてから、今はお昼休憩。これガチだから!」
何だったら動画見る?とスマホを出してきそうになる彼に、苦笑いで首を横に振った。
「昼飯食ったのかよ」
「あーそういえばまだ食べてないわ」
「何か買ってくれば?」
と手渡されたのはブラックのAMEXカード。…そう私たちが家族で使っている、あのカード。
「これ、イルトの?」
「え?ああ、そうだけど。」
そりゃ、ブランドであれだけの服やらバッグも買えるはずだわな。
「お腹すいてないから、いいや。そのミルクティー飲んでんの?」
「まあ。…飲みたいなら飲めよ。」
「じゃあ、いただき。」
誕生日席に座ってから、少し手を伸ばしてミルクティーを取った。