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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第8章 近寄る魔の手
「俺は何もしていない。」
「何もしてないなら尚更っ──。」
「ただ、気になる事件について警察庁長のチョルヨンさんと話してただけだ。その事件は国際的な犯罪組織による犯行の可能性が非常に高い。」
眉毛をピクリと動かしたのは私。
──テヒョンの指す"気になる事件"っていうのが何か分かったから、だろう。
「でな、ふと思ったんだ。」
「韓国国内で起きている"とある事件"が本当に、国際的な犯罪グループの仕業であるとしたら──」
「このタイミングで、爆発事件ってのは不可解過ぎる。これが通り魔なら話は別だ。でも韓国では、そうそう起きない様な爆発物を使ったデカイ事に成りかねなかった事件、なワケだろ?」
「チョルヨンさんから車の中で聞きました、IEDだったんでしょ?」
「IED……?」
「即席爆発装置だよ。有り合わせの材料で作られるもののことを言う。」
「どうやら素人や爆弾マニアの犯行ではなさそうな、まるでプロが作り上げた様なIEDだったって聞きましたよ。」
「──っ、そうなんですか。すみませんが、私にはそこまでの情報が回ってきていませんでした。」
悔しそうに、そんな事を言わせるテヒョンは性格が悪いのかバカなのか──それとも凄すぎるだけなのか。
「いやっ、そういうつもりじゃないんです。多分この事実は後程本部が来たら公表されるとは思うんですけど」
「本部とタッグ組んであげてくださって言いたかったんです。まあ色々あると思うんで、所轄と本店ってのは」