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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第8章 近寄る魔の手
「本妻との間に出来た子供の事は、すっぱりと切ったわけだろ。あの人。だからやっぱり冷たい人なんだって思ってた」
「でも──自分の身内がそうなったワケじゃないのに今回の事件を聞いて本気で悲しんでいる様に思えたんだよ。すげえ悔やんでるというか何というか──……」
「あの人が悔やむ必要なんてないわ」
「ああ。だけどアボジにはアボジなりの考えが有るんだろ。韓国と日本って言って世界が思いつくのは『竹島』『慰安婦』と並んで、今は『帝国』なんだからな」
「良くも悪くも帝国グループっつーのは日韓の代表固有名詞になってる。それを作り上げたのはアボジの行動と俺の行動だ。今回の一連と結び付けて考えるのも不思議じゃねえだろ」
「──。」
「あんなワンマンで、いかにも財閥思考だったアボジが変わったのはお前とテテとアイのお陰なんだと思う。だからその変わり具合が俺は不思議だって言ったんだよ」
「……なるほどね」
喉を鳴らしながらコーヒーを飲み切ったテヒョンは野球選手の様なフォームでゴミ箱に缶を投げる。──これが試合ならストライク・バッターアウトかな。と思えるほどの華麗なコントロールだった。
「───で、ヒョンから聞いた本題に移って良いか。」
「うん。」
甘ったるいミルクティーが私の思考回路を正常にしてくれる。
世間では糖質抜きダイエットっていうのが流行りだしているみたいだけど、こういう真面目な話をする時にそんな事していたら難しすぎて倒れてしまうだろう。
「……ヒョンが警察に話しを聞いてくれた。とりあえず韓国国内での状況証拠だけど、狙われた三人の日本人児童の周りを嗅ぎまわってたのは」
「どうも『ハンソン兄弟』っつー中国マフィアだったみたいだわ」
「ハンソン兄弟?」
「まあ、お前は知らねえわな。……関東連合とかドラゴンとかそういう半グレ、聞いた事あるか?」