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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第8章 近寄る魔の手
「あくまでも推測だろ、俺達はそりゃガキだけど、それなりに色々な事して遊んできたんだ。声を大にして言う事じゃねえけど五人揃ってクラブで大麻キメて女を死ぬほど抱いた事も有る」
「──そういう事してたらな、爆弾とまではいかなくても誰かが殴られたとか死んだとか、ザラに聞くんだよ。」
「リサは韓国に来た時から、ヒョンが側に居たから無難な夜の遊び場しか行ってねえだろうし、ヒョンもヤバイ所にはリサの事を連れて行くはずがない」
「だから知らなくて当たり前なんだ、そういう世界の事。──でも、韓国にもそういう世界は有るんだよ。」
「俺達が金だけ持って、夢も希望も持ってねえ時にそういう世界に片足つかってたってだけだ」
頬に触れる手を冷たくあしらってから、身を乗り出して後部座席を見た。
残り四人のメンバーたちは、何も言わずにただただ黙って私の顔を見つめている。
「じゃあ──本当に、アンタらは何も知らなかったって事」
「ああ、何も知らなかった。第一に"俺達"は既にそういう遊びから足を洗ってる。」
「この犯行が何の意図を持つのか知らねえけど、恨まれる事もしてないし。だからまさか、こうなるなんて予想もしてなかった」
「……じゃあ、最後に」
「最後に一つだけ質問しても良い」
再び動き出した車内。さすがの高級車だけあって、ベッドがそのまま動いてるみたいだ。
無駄な揺れも音も一切、車内には入ってこない。
だからこそ──この静かな空間が、本当に居心地悪い。