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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第8章 近寄る魔の手
「テテとアイはどうなの」
「既に友達が出来たみたいでね、一緒に帰りたいと駄々をこねてるけど、状況的にそれは出来ないから僕と運転手とガードマンでその友達を家まで送っているんだ」
「なるほど、一緒に車に乗せてるわけね」
「そうなるね。向こうの両親も僕たちが帝国だと知っているから、そういう意味での心配はしていないみたいだし、テテもアイも友達と話す時間が増えて嬉しそうだよ」
「そう、なら良いわ。護衛は?」
「そこは──安心してくれて大丈夫だ。」
安心感のある言い切りだった。
彼がこの話し方をするときは、きっと本当に大丈夫。
「アボジ、私ね思う事があるの」
「何だい?」
──この時間帯に電話をしてくるなんて珍しい。
きっとテヒョンから今日の出来事を聞いて『俺は会ってやれねえから』なんていう連携プレーを図られたのかな。
どっちにしても、血が繋がっていないのに、ここまで愛してくれて心配してくれる事が有り難かった。
「ハンソン兄弟、さ」
「……ああ。」
「違う意図が有ると思わない?」
「違う意図?金じゃなくてって事か」
「うん。お金なら別に日本人とか韓国人とか、そういうのに拘らなくて良いじゃない。テヒョンにも言ったの、それなら中国の田舎町に住んで……」
「籍の無い子を誘拐して、その子の臓器を売買した方が元手も手間もかからないでしょ。言葉も通じるし、第一に籍が無いんだからインターポールや警察が動く事もない」
「言い方は悪いけど、悲しむのは子供に籍も与えれなかった親だけなのよ」
「──確かに、そうだね」
「それなのにハンソン兄弟は今になってリスキーな事をしてる」
「今までは、足がつかないからこそ地上げや大麻っていうクソみたいな事で利益を上げてたんでしょ。それが今、まるで何かに喧嘩を売る様な真似してさ」
「………。」