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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第8章 近寄る魔の手
「わかんないよ、私も」
「テヒョンから聞いた情報しか耳には入ってないの。だから──何が本当で、どこまでが噂なのかとかそういった事すら分からない」
「でも思ったの」
「これって金目当ての誘拐とかじゃなくて……誰かに自分たちの犯行を見せつけてる、まあ一言で言うと『喧嘩売ってる行為』なんじゃないかなって」
電話越しのアボジは無言だった。
きっと妹も母も寝たのだろう。周りからいつもなら聞こえる関西弁やガチャガチャとした音が一切聞こえない。
「──その線、有るかもしれないね」
「……え?」
「いやっ、リサの言う事も有るかもしれない」
「マジで言ってる?ただの娘の戯言じゃなくて?」
「ああ。僕はイから資料としてハンセン兄弟が今までしてきたであろう悪行を全て見たんだ。勿論、韓国国内だけでなく日本での犯罪歴もロシアでの犯罪歴もね」
「基本的に金の成る事しかしてなかった。アイツ達の資産は既に20億近くは有るだろうというのが帝国の一部の考えだ」
「──だけど、それを見たからこそ今回の児童誘拐も『金欲しさの人身売買』としか捉えられなかった。その時に何も知らないリサの言葉を聞いて……」
「その線も有り得る、と思った。」
「確かに、今まで上手にして兄弟で20億も稼げたのなら、今更になって捕まる可能性の有る難しい事をする必要はない」
「むしろビジネスとして考えるならば──それだけ元手が増えたのなら、また違ったやり方で資産を増やせる様になる、例えば投資詐欺とかそういうモノでね」
「だけど、それをまるで何かを訴え掛ける様に人種に拘って、見せつける様なやり方で二国間の子供を殺していってる」
「──喧嘩を売ってる、と捉えるのは不思議ではないんだよ。」