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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第9章 見た事のない世界
「金は持ってんじゃないっすかね。実際、数か月だけ愛人なってバーキン買って貰ったって言ってる女を見た事あります」
「それは"バーミン"で出会ってるの?」
「その女の場合は。あんまりタイプじゃなかったから詳しくは聞いてないけど。中だしとかレイプが当たり前の世界だから、それこそシャブ漬けされてても可笑しくないレベルっすけどね、その子は運が良かっただけで」
「──なるほど」
大きく頷いた事だろう。
だけど──そこに行けばハンソン兄弟の何かがつかめる気がした。
「何度も言いますけど、マジで気になるからって行ったらダメですよ。いくら皆『帝国夫人』だって頭で理解してても、薬と酒で頭おかしくなってる男も居るんだから何されるかわかりませんし」
「しかも──っ」
「しかも?」
「ヌナはマジで綺麗なんです。」
「よく冗談で『私も年だわ』とか『子供産んで体が……』とか言ってますけど、それでもBNの女スタッフの中では各段違いに綺麗で優美なんですから」
「それを分かっててくださいね」
「あっ、ありがとっ」
「ああ!待ってヌナ!」
想像していない言葉に顔を赤くしながら、照れてるんだろう。早く部屋を出ようと立ち上がった時──、また違うメンバーに大きな声で呼び止められる。
「何、他にも何か知ってる事有るの?」
「いやっ、知ってる事ではないんだけど」
「うん?」