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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第9章 見た事のない世界
「──マジで行っちゃだめって理由の一つはソレで、もう一つあるんだけどね」
「うん。」
「あそこは韓国最大マフィアの"神宮会"が仕切ってるクラブなんだよ」
「……神宮会?初耳なんだけど」
「そりゃあ初耳でしょ、ヒョンがそんな物騒な名前をヌナの耳に入れるなんて有り得ないもん。あの人は『女は何も知らずに笑っとけ』タイプだからさ」
確かにそういう感じだよね。
だから俺に着いてこいっていうのを全身全霊であそこまで表せれるんだと思う。
「神宮会はヒュンダイとかサムスンの所有土地にも一枚噛んだり、韓国国内の違法の売春宿や飲み屋を全部仕切ってるんだ」
「だけど財閥の土地に絡んでるから、あそこの資金源は凄いんだよ。帝国は絡んでないと思うけどヒュンダイやサムスンが絡んでるのは韓国国内の常識でね」
「もし帝国が世界を動かせれる財閥だとしたら、神宮会はアジアを裏から動かせれる規模のマフィアになる。そりゃあ、日本の山口組とも協賛してるくらいだしね」
「へえ!そうなんだ」
「ははっ、ヌナがまた座り込んだよ。そんなに知らない世界の事を聞くのが楽しい?」
「うん、マジで楽しい。ちょっとタバコ吸っていい?この一本、吸い終わるまでそういう話を聞かせてよ」
そういうとメンバー全員が一斉にして大きく笑った。
私の頭の上に手のひらを乗せてから、灰皿をわざわざ目の前まで持ってきてくれるこの行動の意味は──『イエス』という事だ。
「あっ、タバコ置いてきちゃった」
「そういう事になるんじゃないかと思った。メビウス吸える?」
「うん、一本ちょうだい」
『はいはい』と言いながら、丁寧にライターで火までつけてくれるこの子はマジで女慣れしてるんだろうな。そりゃあモテるワケだ。