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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第9章 見た事のない世界
「神宮会っていうのはそんなに大きい韓国のマフィアなの?」
「多分、山口組とかには構成員の数では負けてると思うよ。でも沢山有る小さい組織や中堅の組織をまとめて、そのトップに立ってるのが神宮会」
「ははんっ、なあるほどね」
私もあんまり日本のヤクザ事情は分からないけど、多分Aという組織の下にBやCがついてるって感じだろう。で、BとCを第二・第三組織だとすると、それらについている小さな組織も有るはずだ。
いわば、マフィアだけど──存在の仕方を見る限り『ヤクザ』と似ているんだと思う。
まあ、山口組と仲良しっていう所は驚いたけどね。
「SMエンターテイメント、JPYとかデカイ所も中国からのマフィアに潰されない様に神宮会にピンハネされてるって噂だよな」
「多分、ウチも初めは幾らか払ってたと思う」
「初めは?」
「うん。だけどテヒョンさんの素性が明らかになってから、一切裏社会とは関わらない様にしたんだよ」
「それまでは中国進出や世界進出の時に、揉めたら解決してくれる『裏社会の力』が必要だったけどね」
「帝国がバックについたなら、別に裏じゃなくても良いだろって話だと思う」
「そういう事か。」
「うん、だからSMとかは未だにお金払ってるんだよ。芸能界と財閥と違法の色屋を全部仕切ってるんだもんな、そりゃ人数がどうとか規模がどうとかいう話じゃなくて」
「絶対的な資金源なんだもん、アジアをまとめれるって言われても可笑しくないわ」
「へえ、凄い世界だね」
聞いた事のない話だから、思いの外嫌いだったメビウスがどんどん進む。
すっかりタバコは半分を切っていた。ここにビールが有れば……つまみが有れば……最高なんだけどね。
現実的には練習室にFBKのメンバーが待っているから、あまりに長い事この子達と『裏社会の話』をするのは無理なんだけどね。