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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第9章 見た事のない世界


『ヌナっ、もし今日ヌナのことをアックジョンで見かけたとか後輩達から聞いたら、俺達ソッコー、ヒョンに連絡入れるから!』

という過保護みたいな言葉を背にした部屋を出た私が居るのは、心なしか殺気染みてるその下の階の練習室。

「……何話してたんだよ」


先程の数十倍も不機嫌になっているイルトは、私の顔を見るなり目を大きく開いてから、静かにそう言った。

「だからアドバイス貰ってたんだって。」

「ジャンルが違うのにアドバイスって笑わせんな。何、誰かと付き合ってんの?俺達やヒョンを差し置いて」

「はあ?!どこを見たらそんな考えになるのよ。もうっ……私は今、BNのスタッフでも有るんだからKBLOCKと話す事もあるでしょうに。」


「俺達がKBLOCK抜かそうとしてる時に、アイツ達と仲良くしちゃダメだよーヌナ。」

上下関係が厳しいと言われている韓国で、まさかの『アイツ達』呼びをしたジュンも笑顔の奥に凍りついた仮面が張り付いてそうだ。

「いやっ、マジで名誉挽回の為にいうけど私、あんた達の情報も話してないし彼達に媚売ってるワケでもないからね?!」

「何で、テヒョンさんの嫁であるヌナがアイツ達ごときに媚売るんだよ。そんなんじゃないって分かってる。」


「ただ、俺もイルトもジュンも──嫉妬してるだけだよ。」


「嫉妬ぉ?」

ため息をつきながら、やっとありつけた自分のタバコを取る。

メビウスも吸えないワケじゃなかったけど……もう何年もフィリップモリス一筋なんだ、今さら浮気出来るはずがない。

ころころとタバコを変えていた"カワスミ・リョウ"でもあるまいし。


「俺達、皆から『ヌナがマネージャーなんて羨ましいな』って言われてるんだよ。」

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