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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第9章 見た事のない世界

「なっ、なによ!」


「いやいや、ヌナらしいなっと思って。俺達がこんなに甘い事言ってるのに感動じゃなくて肯定なんてさ。」

「それでこそリサだね。」

目を細めながら私に近付いて来ようとするジェジュンを止めて、真っ先にスタスタと歩いてくるのは──間違いなくイルトだ。


「やっぱり可愛いわ……」

すっぽりと抱き締められた私の耳にしか聞こえない声で、綺麗な英語と共にそんな事を言われる。

「もうっ!離してよ、暑いな!」

「うるさい。」

──まるで捨てられた子猫みたいだな、なんて思う。

まあ、今日は良いヒントも貰えて気分が良いからオールオッケーってことにしておこう。

初めてイルトの背中に腕を回してあげる。

驚いたのか少し身動きした彼の体だけど、やっぱり嬉しいんだろう。ものの数秒足らずで腕に力を込めたのが分かった。

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