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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第10章 子育てはエゴイズム
「──っ、へっ?」
私の口から出たのは、まるで今までさまざまな修羅場を潜り抜けてきたとは思えない女の間抜けな声だった。
「何度でも言ってやるよ。」
「俺は神宮会のトップの息子だ、そこに居るのが俺のアボジだよ」
「神宮会って──」
「KBLOCKに色々聞いたんだってなあ」
上から見下してくる彼の瞳は冷酷そのものだ。それとは逆に後ろで黙って私達を見ているイルトのお父さんは、どこか心配そうな目をしている。
「怪しいと思ったんだよ、あんだけ既存のグループの真似なんかって言ってるヌナがアイツ達にアドバイスを貰いに行くなんて、な」
「で、ジェジュンらと協力してKBLOCKに話を聞いたらお前が『女・ドラッグ・セックス』のこの三拍子が揃ってるクラブが何処にあるかしつこく聞いてきた、と」
「なあにが、それを目にしたら私の感受性が豊かになるだ。彼達の演出のためになる、だ」
「お前が此処に来たのは、あの日俺達に聞いてきた『ハンソン兄弟』のことを探るためなんだろ」
「……ど、どうしてその名前を」
ああ、もう話に私の脳はついていけない。
これがお昼間だったらマトモにイルトと話を出来たのか?いや、それも違うか。
まず第一に、尾昼間だったら彼の口から『ハンソン兄弟』なんていうワードを聞くこともなかっただろう。ましてや、こんな『知ってる風』な口ぶりで。