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第10章 子育てはエゴイズム

「会長！やっぱり駄目です、グラスも無いし指紋も綺麗にふき取られてるみたいですね。何個か注射器はありましたけど、打たれた女は"沈んじまって”まともに話も出来ないです」

「そうか。」

すっかり韓国語の理解が得意な私はこんなネイティブな会話を聞き取るのもお安い御用だ。


「お前のことをこれから、俺達の家に連れて帰る」

「はあ？」

「アボジ、いいだろ。ちょっと話がしたい」


「──だから言っただろ、それほどまでに大事にしたいマネージャーやビジネスポートナーには予め言っておく必要が有ったんじゃないのか、と」

「………。」


「まあな、お前の気持ちもわかるが」

「俺もまさか"溝鼠”が、この神宮会に喧嘩を売ってくるなんて思いもしなかったんだからな。」



冷静なイルトのお父さんの一言。

そこでつながった。


あの二人はやはりハンソン兄弟で……そして自分達で言っていたとおり、溝鼠なんだと。