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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第10章 子育てはエゴイズム
「食品に強いアートに頼ってみようとか、車のヒュンダイに頼ろうとか、そういうのじゃないのよ。皆、それらをパクっていかに自分の資産にするかしか考えていないの」
「だから私達財閥は──そういう風に……そうね、まるでゴッド・ファーザーの世界の様なマフィアとはまた違う。マフィアよりもヌメヌメとした沼地に足入れてる様なモンかもしれない」
自分で話しながら思った。
そんな世界で……やられなきゃやられる、なんて世界で上野芝財閥の手から逃れ家庭でも自分の味方が居ない事を知りながら……
本気で愛した人を癌で亡くした事を一生かけて悔やみながら……ただ必死に仕事だけをして、帝国財閥を頑固とした地位に達せたアボジはどれだけのストレスを抱えていたんだろう。
近すぎて分からなくなっていたのかもしれない。
私の知るアボジは、テテとアイを溺愛しながら時にはUSJを買い取るだの枚方パークを韓国に移転させるだの言いだす『孫バカなアボジ』でしかない。
その後を継いだテヒョンもそう。
私の目には嫉妬深くて、一人で何も出来なくて、突拍子のない事を言っても私なら絶対に付いて来てくれる。と何処から出てるのか分からない自信を持った『我儘な御曹司』と映っている。
でも実際は違うんだ。
あんなドロドロとした世界で、誰も信用なんか出来ない世界で──彼達は必死に身内の為に組織の為に戦っている『一人の戦士』なんだ。
財閥だから、ってワケじゃないだろう。
これが一般家庭のサラリーマンでもそう。
理不尽な上司や出来の悪い部下に囲まれて、家に帰って文句言われて……そんな世界でも、愛する家族の為にたった一人で背広を着て頑張っている。
なんか、そう思うと──私はどれだけ恵まれてるんだろう。なんて思えて涙が出てきた。