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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第10章 子育てはエゴイズム
「ヌナ。何で泣いてんの」
「……いやっ」
「イルトぉ、相当怒っただろ」
「ジュンっ、あのなあ俺は何もまだ怒ってねえよ」
「なんかっ──シャンパンが効いてきたのかな。感受性豊かになっちゃった」
「……はあ?」
「何て言うんだろう、マフィアであれ財閥であれ一般家庭であれ、男って必死に何かを守るために理不尽な環境に耐えながら頑張ってるワケじゃん」
「あんたらもそうよ」
「マフィアの家に生まれた事で、きっと『何で生まれが悪いんだよ』って思いこんだ事も有ると思うの。テヒョンも……そうだったから」
「みんな、孤独や葛藤を抱えながら生きてる。でも男は男だからという理由で、必死に目の前の事をやり遂げて嫁や子供を守る事が一生のルールになるわけで……」
「私は仕事もせずにテテとアイを育てて。いやっ、勿論それはそれで大変なのよ。でも何て言うんだろう──。そんな立場のテヒョンから愛を貰って、アボジにも愛されて」
「そして、面倒を見てる『FBK』なんていう出来悪いとか散々の言われ様だった五人にも──こうやって迎えに来られて、皆が心配して此処に集まってくれるくらいには愛されてる」
「本当、私って凄く幸せなんだ、と思ったの」
「────。」
「辛いとかしんどいとか、そりゃあ思う事も有る」
「でも血の繋がりのないアンタ達に、こうやって愛を貰えてる事が嬉しくて仕方ないのよ。ヌナなんて言いながらも調子乗ったら『お前』って言われてさ」
「でも──でも──それすらも"幸せ"なんだって、そう思わされたというか、この年にして再確認させられた」
すすり泣く私を、皆真剣そうな顔で見つめている。
最初に口を開いたのは、普段から口数が多い方ではないミンホだった。
「心配だよ、そりゃ」