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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第10章 子育てはエゴイズム
「ヌナに何か有ったらヒョンに俺達が"潰される"とかそういう疚しい考えなんかじゃない事は言いきれる。今日に関して言えば俺達は知らないで通せたからね」
「だけど、あの日」
「車内でヌナから『ハンソン兄弟』の名前を聞いた時、もしかしたらと思ったんだ。ヌナの性格なら『目的を達成するための手段は選ばない』んじゃないかって」
モンローの言葉だ、私もモンローの名言を心に秘めて必死に恋という名の道を駆け抜けていた時は、そうだったかもしれないな。
「俺から説明していいか?イルト」
「ああ。珍しいな、ミンホがそんな話そうとするって」
「こんな時しか話す場面ないじゃん。お前らがワーワーしてんのを見守る役目なんだしな、普段の俺は」
乾いた笑顔を見せながら、タバコに火を付けた彼は一度天を見上げてから両肩を無意味に回してみせるとゆっくりと話し始めた。
「色々ヌナも知ってると思うけど、前提として『ハンソン兄弟』は半グレだ。」
「でもアイツらの推定資産だけでも相当な額有る事は分かってる、俺達もインターポールも」
「そんなアイツらが先ず憎ましく思ったのは『神宮会』だ」
「SMやJYPはアイドル達を中国進出させる際に、大陸のマフィアに潰されない様に揉めない様に、"傘代"として神宮会に金を払って韓国の『輸出人員』を守ってる」
「大陸の半グレじゃないマフィアは、それを知ってるしマフィア同士の暗黙のルールってのを分かってるからそこには手を出さないんだよ。出したらエライ事になるしな」
「だけども、そこにハンソン兄弟っつー半グレが現れたワケだ」
「アイツらは人身売買や臓器売買なんていう人間のする様な事じゃない"鬼畜の極み"で金を儲けた、そんなヤツらが次に欲しがるのは何だと思う?」
「……名誉?」
「──おお、一発正解、さすがヌナ」
驚いた様にジュンがソファーの上でヤンキー座りをしながら手を叩いた。
コイツだけは──こんな重い話をしていても、どこか雰囲気を軽くさせてしまう。サファイアの『マンネ』と似た性格をしているのかもしれない。