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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第11章 重要参考人の貴婦人様
「どこの世界に、自分の嫁が韓国で一番悪名高いクラブ行ったって聞いて怒んねえ旦那が居るって言うんだ?」
「そこにどんな理由が有ったとしても、ドラッグや出来の悪い男が蔓延ってる場所に自分の女が足を踏み入れたワケじゃねえか。」
「それで、マトモに怒らねえで心配もしねえで結果良いから全て良いね。なんて言う旦那が居るっつーのかよ?ああ?」
「だからそうじゃ「人の話しは最後まで聞けや!」
「……。」
「俺はそんなヤツ、まともに愛してないと思う。その相手の事を」
「本当に愛してるならな、マジでやべえ事に足突っ込んだ場合は自分も口が痛くなるまで、そんで相手も耳が痛くなるまで──同じことを何度も言うもんなんだよ」
「それが一週間も黙ってられた、となれば尚更だろ」
「俺がオメエに怒ってるのは当たり前だ」
「だっ、だから!私はそれでも貴方にはお疲れさまの一言くらい言って欲しかったって言ってんのよ!!」
「それ以上言うってか」
「え?」
「だから──それ以上言うってか?」
みるみる内に見た事もない顔になっていく目の前の私の旦那さん。なんて言うんだろ……もう『怒り』とかそんな言葉じゃ片付かないと思う。
格好の良い顔立ちだから余計だ。
ゾクリとキレイ過ぎる顔の冷たい表情に背中に鳥肌が立つ。
「いいわ、分からせてやる」
「はあ?」
カバンの中から乱暴にスマホを取り出した彼は、秒速で何かをスライドさせると耳に電話を当てた。そしてものの十秒ほどで、次は早口の韓国語で何かを話し出す。
『もしもし、俺だけど』
『今日のFBKのデビュー、評判はどうだった』