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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第11章 重要参考人の貴婦人様
キラッと一瞬だけ光るウィンドランプ、そんな機能が付いているのはレクサスの最新型ハリアーだ。
やっぱり景気が良い人は、どこの世界にも居るもんだと思う。
韓国は、財閥経済だ……とか日韓スワップが終わってヤバイ状況だ……とか色々と言われている経済状態。
でも私達『帝国財閥』は貧困とは無縁だし、行く宛なく再び舞い戻ってしまったこの街、カンナムも無縁だろう。
皆、何かしらブランドロゴの入った紙袋を持ってスタバのコーヒー片手に談笑している。
今から彼達がむかうのは?時間帯的にクラブ?それともバー?
もう二度目になる──、この地下クラブ『バーミン』に入ろうとするカンナムオンニは誰も居なかった。
階段を降りると同時に視界に入るのは、あの日まるで"ハンソン兄弟と思わしき男達二人"の舎弟のようだったチェ・クゥだ。
「……へえ。」
たった一言。
いらっしゃいませ、等という上品な言葉を言う前に呟かれた、心底意外そうで……いや?もしかしたら予想していたのかな。どっちとも取れるそんな言葉。
「今日もお一人ですか。」
「ええ。」
身分証明書を提示しろ、と言われることは無い。
音楽はさすがにかかっているけれど、踊っている人は、本当にまばら。
どちらかと言うと、今晩男を探そう!と意気込んでそうな女性が多めで男性は既にラリってそうな人達が少しだけ。