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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第11章 重要参考人の貴婦人様

「VIP、まだ空いてるでしょ」

「ええ、この時間ですから。お支払はカードですか?現金ですか?」

「カード。」

「ルームリザーブ式になります。三時間で50万ウォン、シャンパンは一本だけ付属で、烏龍茶などソフトドリンクは別途料金です。──大丈夫ですか?」

「私はソン・リサよ。大丈夫に決まってるでしょ。」


少しキツく言い返すと片手を上げて、そのまま前にも飲んだバーカウンターを通りすぎて、広くどこか殺風景な部屋に通された。

真っ白のソファーとガラステーブルは、それなりに如何わしいモノを吸い取ってるハズなのに、そんな素振りすら見せない。


「私、今日はお酒飲まないかも。」

「シャンパンはどうしましょう。」


「値段はそのままでいいけど、別に持ってこなくていいわ。その代わりミルクティーをくれない?……糖分取って一人で考え事をしたい気分なの。」

テヒョンとの食事で焼酎の水割りを三杯飲んだ。別にノンアルコールな訳じゃあない。

ただ、ここで飲む気には……なれない。それだけ。

「……分かりました。」


この前と威勢の良さが違う、ふとそんな事を思ったのかもしれない彼は、それ以上は憎まれ口を叩かずに私に背を向け、何やらスマホを取り出しながらカウンターの方へ向かう。

閉ざされたこの部屋。

お世辞にも、だだっ広いとは言えないけど──でも『お金を払って取る部屋』感はすごく出ている。

どれだけの数の女性が、目先のお金に眩み自分の体を犠牲にしたんだろう。

どれだけの数の女性が──ここで悲鳴をあげたんだろう。


「こんなご時世で、クスリの世界も何も知らずに生きてこれたのはテヒョンのおかげ……なのよね。」

かなりの過保護だったアイツ。

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