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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第11章 重要参考人の貴婦人様
「……。」
「『待ち人』ねえ~」
上から下まで、まるで品定めをされる様にネトリと私の身体に絡みつく視線は、ユンサのモノとはまた違い恐怖心を持たせて来る。
それと同時に──『こんなヤツに』なんて思ってしまう反骨心も。
「それは良いだろ、で──俺に会うってことは何か有ったのか」
「いやっ、別に。ただプサンに有る工場を出る準備を進めた。色々とバレちまいそうでややこしかったから」
「了解。」
「だから今日はプサン卒業デーってことで、ミックスでパーティーしようと思ってたけどさ。まさかの兄貴が一人でバーミンだって言うからボディーガードだよ。」
まるで映画の様に、親指と中指を鳴らしたイヴァンは急に立ち上がり、ドアをホテルマンの様な仕草で開ける。
──すると、急に増える人数。
気の小さそうな身長の低いスーツマンも居れば、刺青バリバリのいかにも喧嘩の強そうな人も居る。総勢、八人くらいかな?
ユンサは、はあ。とため息をついてからもう一度イヴァンにしゃべりかけた。
「何だ、こいつら」
「だから言ったじゃん、パーティーだって」
「だけどな、あの日の一件からバーミンは神宮会に完全に目付けられてるんだ。どっから水漏れしたのかもまだ分かってねえってのに──そんな人数引き連れて、ここら辺歩きやがって」
「何、兄貴なんでそんな苛々しちゃってんの?まさか、あの兄貴がこの『貴婦人様』をオトせなかったってワケ……ねえよな?」
「イヴァン!」
「ははっ、冗談だよ冗談。ったく、堅物なんだから。」
「うるさい。」
デキの悪い弟が本気で鬱陶しいんだろう。私の目を見て苦笑いをしながら『ごめん、少しお手洗いに行ってくる』と呟くと、その顔とは真逆の"怒り顔"で『お前ら、俺が部屋に戻るまでにさっさと、出ていけよ』と言い放った。