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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第11章 重要参考人の貴婦人様
「てめえ、イヴァン!!」
ユンサが声を荒げた時だった。
さきほどまでグラリと回っていた視界が止まり、急に花火がはじけた様な光に覆われる。
力の入った膝を持ち、再度座り込むと、兄弟喧嘩は止まり全員の視線が私一点の元へ集まった。
「なっ、ほらな言っただろ?別に死にはしねえって」
「初心者が吸引じゃなくて、注射器で直接"入れる"ってコトしたからなあ。ちょっと体が焦っちまっただけだよ」
「……リサさん!」
紳士な彼の止める声なんて無視して、ドンペリをビンダする。
「っはあ。このドンペリ、2016年産よね」
「おおっ!すげえな、さすが『貴婦人様』だ」
「──ユンサ、あんたこんなマズイの飲んでたら舌が腐るわよ」
思わず出た英語は、スラングばかりだった。
「ははっ、ついに本性が出始めたか?こりゃおもしれえ。メキシコ産のコカインなんて安値でしかないと思ってたけど、これなら五倍の価格でも売れるかもな」
「リサさん、少し落ち着いてください。水でも飲んで「──飲んだら、飛んだまま話せないでしょ?」
「え?」
「あたしね、今なら無敵かも」
酔っぱらっても、ここまでになる事はほぼ無い。
それはいつも──テヒョンが側に居るからなのかな。
「単刀直入に聞くわ。英語を理解できるのはこの三人だけよね」
「……そうですが。」
「じゃあ英語で。ねえ、ハンソン兄弟」
「何で──」
「何で『韓国』と『日本』なの」