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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第11章 重要参考人の貴婦人様
「どうして?リスキー過ぎるでしょ、貴方たちの母国こそ国籍のない様な子供たちが沢山居るはずよ。」
「どうして韓国と日本の血が入っている子供を狙うの?」
「兄貴、コイツここまで知ってんのか?」
いつ持って来たんだろう。すっかりとコカインの罠にはまった私には分からなかったけど、いつの間にか増えたドンペリの瓶二本が机の上に置かれている。
そして──それを慣れた手つきで私の様にビンダしているイヴァン。
「……リサさん、貴方は本当は──それを聞きたかったんですよね」
「ええ?」
「コカインは人を素直にします。だからコカインを使った女性はセックスの時に淫らとも取れるほど素直になるんです」
「……。」
「兄貴、言わなくても良いだろ」
「イヴァン、お前には今日だけで俺に"借り"が幾つあると思ってるんだ。」
「何でだよ」
「俺の『大事にしたいヤツ』を傷つけただろう。ドコの世界に、誰かれ構わずコカイン入れ込むバカが居るんだ」
「……俺は兄貴孝行したかっただけなのによお」
「──バカな弟を持つと、まあ大変な事だ。」
「……リサさん」
「はい?兄弟喧嘩はもう終わったかしら?」
「僕たちは。イギリス人の父と韓国人の母を持ちます。俗に言う『ハーフ』ですよね。」
「なるほどね、だから英語がイギリス仕込なんだ。」
ふとした発音が、以前お会いしたキャサリン妃と被るものが有ったのだ。
ユンサの事だから気障なホームズにでも憧れて独学で勉強したのかと思ったけど──そういう事か。これで発音や文法が私よりも完璧な事に納得がいった。