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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第11章 重要参考人の貴婦人様
一瞬にしてポーカーフェイスが一度だけ崩れると、ワケが分からないと言う様に両手を上げて私の目の前に座り込む。
「何言ってんの」
「帰らない。テヒョンの顔なんか見たくもないし話したくもない」
第一、こんな状況で帰ったらどうなる?また怒られるのだろうか。
しかも今日は別だ。
あんな別れ方をしておいて、帰宅してきた嫁がシャブをハンソン兄弟に入れられた……なんて、テヒョンがどんな行動をするのか、次元が飛び過ぎて想像出来る様で出来ない。
心配をしてくれてるが故の言葉だったってことも全部分かってる。
でも、今の思考回路でマトモに話が出来るとも思わないし──第一に会いたくないんだ。
「あたし……」
「──何だよ。」
「今はイルトと一緒に居たい…かも。」
家に帰ってテヒョンと、また揉めるくらいなら──。私の気持ちも状況も何も分かってくれないのなら──。
この子と一緒にいる方がいい。
そう思いながら少しだけ私より高い彼を見上げると、眉間に皺を寄せてから小さな口を開いたイルトは急に立ち上がり床の上に私を押し倒した。
「ヌナっ」
「いや、"バカヌナ"か。」
「何よ、それ。」