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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第11章 重要参考人の貴婦人様
ダメだ、絶対にダメだ。
そう心の中で何度も唱えるけれど、脇腹に手を沿わせるイルトがどうにも熱っぽくて、淫らな気分になっていく自分が居る。
──ダメなのに。
自らの舌を彼の唇に入れようとした瞬間……、彼は大きな瞳を開き咄嗟に顔を離した。
「……っ、やべえな。」
「──。」
「ヌナが一番分かってんだろ。」
「そうだ「いや、いい。なんか今はヌナの口から出る言葉の一つ一つに一喜一憂しちまいそうで、なんかやってられねえわ。」
上体を起こすと、漫画の様に髪をかきながら、目線を下にズラして水を一気に飲み干した。
麻薬って最高に怖い。
イヴァンが『キメセクは最高だ』と言っていたことの意味……今になって実感してきたかもしれない。
あんなキス一つで、私は確実に濡れてしまった。自分で分かるくらいに。
「俺が、もし」
「もし、ヌナを抱くなら──ヌナがヒョンとの関係を終わらせてからだよ。……ガキだけど、俺にも理性が有る。」
「……。」
「出会った時から、奇想天外な行動ながら俺達のクソみてえな所見ても面白がってくれるヌナに、俺が惹かれてた」
「首についてるキスマークも、ヒョンと何処行ったとか何したとか、そういう話しを聞くのも見るのも何時からかマジで嫌になってたんだ。ただでさえ韓国人の男は独占欲が強いのに……俺の相手はテヒョンさんで、好きになったヤツはソン・リサだった」
「本気になれる女見つけろだ」
「好きに女抱いてこいだ」
「こんなに必死に──我慢してる俺って、やっぱりヌナにとってただのFBKのメンバーなんだろうな。」
「そっ、それ「でもいいんだよ。」
「え?」
「それでも良い。叶わねえ恋ってバカらしいけど、俺らしくねえけど。でも……ヌナが生きててくれたから、勝手に此処に来たことも、全部どうでもいい。」
「ただ一つ。」
「俺はヒョンに負けねえくらい、アンタを愛してるよ。」