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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第11章 重要参考人の貴婦人様
分かっていたんだけど、というのが私の本音。
イルトが私の事を好きで居てくれてるのも、その気持ちを幼い彼なりに必死に見せない様にしてくれてるのも、分からない振りをしながらずっと分かってた、本当は。
まさかの告白から15分ほど経った時、気まずそうな表情の目の前の男が一変、明るい顔に変わる。
「イルト!」
被さった四つの声は、聞きなれたメロディーを綺麗に歌い上げるあの子達のモノだ。
「ジェジュン……はあ、ったくさすが俺達ファミリーだな、全員来たって。情報が早いことだよ。」
いつの間にか片付けられた死体が二人並んでいた道を、四人揃って歩いてくるこの姿。
やっぱりデビューしたばかりの子達に見えない。
オーラとか、堂々とした雰囲気。
きっとそれは、この五人が他の若い子達とは違う修羅場や経験をしてきたからなのだろう。
悩みや経験は人を作るのだ、男なんてそういうモノに左右される確率は女よりも高い。
「──ッ、ほんっとにヌナは話聞かないなあ!俺達と前に勝手な事すんじゃねえよって話したばかりじゃ「ジュン、もう散々言ったから。」
「だけどイルト、お前が来なかったらコイツ……どうなってたか分かんなかったんだぞ!」
「神宮会が来て、お前が来て……だからどうにか助かったけどよお、少しでもタイミングがズレてたら──この世に居なかったかもしれねえんだよ。」
「──それも全部言った。だからあんまりお前達から言ってやんなよ」
「……ッ!……分かった。」
普段は馬鹿面しかしていないジュンが、明らかに苛々しながら地面に転がるドンペリの空ビンを壁に蹴りあげる。
パリーンという軽い音を聞いた私たち。
ミンホは童顔王子の肩を二回叩くとゆっくりと私の顔を見て、そして交互にイルトの方へ目線を向けた。
「で、どうなった。」
「ハンソン兄弟には逃げられたよ。いつもと同じだ、でもひとつ違うのは「ヌナが兄貴の方を怪我させたんだろ?」