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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第11章 重要参考人の貴婦人様
「もう情報いったか。」
「当たり前だよ──今、俺ん所がハンソン兄弟の口座を探してる所だ、まあ新家はマフィアだけど新韓銀行とかシティバンクの太客なのは確かだからな。」
「ハンソンを守って俺達を売るとか、そういうことはしねえと思う」
「そうだろうな。ジェジュンのアボジが本気の時の表情は──メガバンの頭取達すらチビらす位の気迫だから。金が止まればアイツ達も追い詰められるはずだろ」
「俺ん所は日本の闇医者達に話つけといたから。」
「まあ、ここまで顔出し合って殺り合った今から、船乗って日本行って治療するとか、そんなんは無えと思うけど、一応。日本なんて闇医者の固まりだからな。」
怖いほど綺麗な顔をしてキツい話をする彼達五人は、マフィアの子として生まれただけであって決して、自ら望んでその世界に片足踏み入れてる訳ではない。
それなのに──
テヒョンは──、あんなことを私の前でしようとした。
帝国とサファイアというダブルの権力を使って、こんな未来有る子達を潰そうとしたんだ。
それが本心なのか、勢い余って出てしまった行動や言葉なのかは分からない。もしかしたら嫉妬だったのかもしれない。
でも──彼はこの子達と似た様な境遇で育っている。
出生を公に言えない、子供ながらに自分の存在価値や意義を悩んでしまうような複雑な環境、というのかな。
だからこそ、テヒョンならこの子達に寄り添ってあげれると思ったのに。
私たち夫婦が沢山の人達から貰った愛や支援を、出し惜しみする事なく可愛いこの子達に……ギブアンドテイクとして、あげる人だと思ったのに。
そう思うと、体はしんどい筈なのに勝手に拳に力が入る。
そんな私をチラリと見たアリーは焦った様に、イルトのアボジを呼びつけた。