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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第11章 重要参考人の貴婦人様
「サファイアを抜かしてヌナを笑顔にさせてえとか、そんなこと俺も思ってたんだよ。馬鹿だろ?死体が二人転がっててもその横でカップラーメン食える様な俺が、だよ。」
「ジェジュン、なあ言ってみろや。お前も新家の血引いてるから誰よりも金儲けが上手いじゃねえかよ」
「──俺達五人なんてな、どんなに頑張ってもマフィアの沼から出れない様なクソだったんだよ。金か顔しか見ない様な女に囲まれて、それが幸せだと思ってた」
「コカイン入れて、女とキメセクして。」
「親父達のカードで土地買い漁って、本当に土地成金みたいな事したと思えば、腹立つ男に『帝国財閥のヒョン』よりも品の無い言葉言って、そこら辺に居る奴達のプライドや自尊心傷つけて」
「──でも、俺らが本気でアイドルに向き合うキッカケになってくれた"ヌナ"は今まで見てきた大人や女と100も違うかった。」
「俺らが悪い事して金稼いでるかもしれねえ、って的はずれな事思いながらも、ちゃんと信じて寄り添って、いつでも味方で居ようとしてくれてた。」
「……ああ、分かるよ!イルト、俺もそれは本当に思ってる。だからこそ──だからこそ、おめえが此処で親父の道辿っちまうのはダメだって言ってんだよ!」
「ちげえよ、ジェジュン。お前はなにも分かってない」
「お前マジでっ「こいつが……こいつが端からハンソンに買われる事なく、ちゃんと神宮会か新家にでも連絡入れてたらヌナはこうならなかっただろうが!!」
「イルト、お前ッ──私の様な道に進むんじゃない!早く、リサさんを連れていけ!!」
「リサ」
ドクッと心臓が鳴る音がいつもよりも私の耳に届く、私の体が可笑しいのか──それとも、今のこの環境が可笑しいのか。
「しっかり目ぇ見開いとけや」
冷たくサイボーグの様な瞳は、私を捉えた後にもう一度、前を向く。
そしてその数秒後、彼の綺麗な指先が引き金を引いたと同時に、瓶が割れる音なんか比べ物にならない位の爆音が、私の鼓膜を突き破った。