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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第11章 重要参考人の貴婦人様
「医者曰く、昔の──まあ色々な経験がお前の身体と脳に免疫を付けたんじゃねえか、だからシャブなんか手出した事ねえのに何の障害も残らない程、綺麗に体内の機能が毒素排出に向けて動けたんじゃねえかって」
「……。」
「一応、搬送されてから六時間は向こうで点滴やら何やらしてもらってたみたいだ。俺が迎えに行った時は『心配いらねえけど、安静にさせとけ』って言われただけだった。」
「イルトに会ったの」
「──ああ、メンバー全員に会った。」
「その顔で?」
「……え?」
「その顔で会ったの、俺は財閥の子供だ、なんて顔してさ」
少しづつ思い出してくるのは昨日の出来事だ。
テヒョンの言葉もハンソン兄弟とのやり取りも──勿論、イルトがキレ狂い『殺人』を起こした事も、全部鮮明に思い返してきている。
「その事なんだけど、あれは俺が「いいから!」
握られた手を離すと、私はサイドテーブルに置いてある水を一気に飲み干してから、心配そうに腕を引っ張るテヒョンと、今度は……真面目に向き合った。
お酒も音楽も美味しいご飯も何もない、いつも私達が朝起きているこの寝室で。