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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第11章 重要参考人の貴婦人様
「俺が間違ってたんだよ、俺がお前の事もFBKの事も何一つ俯瞰して考えれずに自己中心的な考えで動いてしまったと思ってる」
「……思ってる?それだけなの?」
「アンタがあの一言を言ったせいで会長やBN幹部の考え方が変わったら、あの子達は一瞬の天下を捨てる事になるのよ」
「──だからそれ「だからとか、でもとか、そんな話もしてないしタラレバはもう良いのよ」
いつの間にかトミーのセットアップに着替えていた私。
きっと帰宅した時にテヒョンが着替えさせてくれたんだろう。
でもさすがの彼も気が動転していたみたいだ。チラリと見えたバッグの中はそのままで財布も携帯も入ってあるのが見えた。
普段の策士な彼なら起きてから、こうやって喧嘩になるのが想像できるはず。……となれば、そのまま私が出ていかない様にカバンを隠すなり、財布を隠すなりするだろう。
「正直、見損なった」
「……。」
「あれが本心とかそうじゃないとか、もうここまで来たらどうでも良いわ。」
「ただね、あんな品の無い言葉を──側でそれなりに努力をしてきたであろうあの子達に言えるその神経が私は気に入らないの。」
「イルトは──」
彼が嫉妬をした原因である一人の名前を出すと、腕を離し捨てられた子犬の様な瞳で私を見つめるソン・テヒョン。
そんな姿は到底、世界を相手にしているSfireのリーダーであり、帝国グループの会長で有る様には見えない。
「イルトは怒ったわよ、確かに『お前ここで何してんだ』って怖い顔して言ってきた」
「でもね、その後に言ってくれたのよ。『ヌナが生きてるから、勝手にバーミンに来た事もハンソン兄弟と話した事も、それはそれで許す』と」
「アンタ言ったよね。結果が良いからと怒らない男はソイツを本当に愛してなんかいないんだ。って」
「でも違うわ。イルトは──本当に私を愛してくれてる」