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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第12章 隠蔽工作は愛の味
「沢山の人に出会いました。帝国夫人として財閥の奥様方や子供さん方とも、そしてマネージャーとしてバリバリの第一線で働いてらっしゃる芸能関係者の皆さまとも」
「だけどね、あの人達はきっとこう言います。イルト達の家族の事を知ったら──きっと──『そんな溝鼠』と」
「……。」
「でもイルトもジェジュンもアリーもミンホもジュンも、一人の男の子なんです。多感な時期に人よりも複雑な環境で育ってきた子なんです」
「持った夢がアイドルになって成功するという人に認められてナンボのモノだった。そうでしょう?」
「テヒョンと彼達五人の違いは、先祖がギロチン台に立たされた人間なのか、それともギロチンを囲んで歓声を上げていた人間なのか。ただそれだけなんです」
「それなのに──イルトが引退する意味ってあるんでしょうか」
「芸能界だけじゃない、『職場』では『才能』と『実力』だけを配慮してあげるべきなんじゃないのかって。私は……そう思ってるんです」
韓国語でこんな話が出来る様になったなんてな、月日の流れは人間を成長させるんだ。
私も──テヒョンも──
近くに居すぎて気付かなかっただけで、実はお互い充分に成長し合ってたのかもしれない。
「リサさん、一つ勘違いを解いておこう」
「勘違い──ですか?」
「僕は、決してイルトの引退を認めたワケじゃないんだ。」
「……。」
「確かにね、あの日テヒョンが言った様に『財閥』だとバレてもシンデレラストーリーになるがそれが反社会的な組織となると万人受けのシンデレラストーリーには成りにくい」
「でも、一定多数支持をする人が居る。それは何故か、イルトだけじゃない。あの五人全員の家が、その世界では潰れる事を知らない『帝国財閥』の様なものだからだ。」
「──お金を持ってるってことですか」
「お金だけじゃないけど……、まあそう言った方が早いかもしれないね」
「───。」