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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第12章 隠蔽工作は愛の味
……韓国なんて狭い国なのに、どこにそれだけの土地が余ってるんだろう。と思う。
イルトの家と大差ない豪華な家が新家の総本家らしい。私の顔をインターホンのカメラ超しに見たジェジュンは驚きながらも、すんなりと家の中へ上げてくれた。
この調子なら残り三人の家も同じくらい大きくて豪華なんだろうな。
──何ていうんだろう、やっぱりFBKというこのグループはどこか規格外なんだ。
沢山の強面の男性陣に頭を下げられながら迎え入れられたのは、ジェジュンの部屋だった。真っ白の家具で統一された、いかにも高級感と清潔感のあるこの部屋は、まるでヒルトンホテルのスイートルームの様だ。
「やっぱイルトは居ないんだ」
「……ヌナも聞いたか、そりゃそうだよな」
各自、ソファーに座ったりベッドに座ったりしているけど一人足りない。──そう、イルトが居ないんだ。
予想はしていたけれど、この場所に彼が居て当たり前かの様に真ん中で偉そうにしている風景が見たかった。きっと会長もこの場に居たら、私と同じことを思うだろう。
誰が飲んでいたのか分からないミルクティーを、何も言わずに飲んでからもう一度辺りを見渡す。居心地の悪い沈黙のこの空気を破ったのはアリーだった。
「もう過ぎたからかもしんないけど」