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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第12章 隠蔽工作は愛の味

「──アイツがクウを殺したってなったらさ。なんか俺もすげえハンソン兄弟とかもう居ないけどチェ・クゥとか、そこら辺の一味に腹立ってきてるんだよね、今」


「きっと皆言わないだけで同じ気持ちだと思う。」

「アイツを殺しても気が済まないんだよ。俺達のヌナに何してくれたって、そんな荒々しい気持ちのが勝ってるんだ、グループを続けていきたいって気持ちよりも」


「………。」


「ここがロシアだったらな、広い土地には色々な人が居るっていう考えでグループの一人が過去に殺人犯してようが家族がマフィアだろうが、まだどうにかなったかもしれない」

「でもここは韓国なんだよ。市場は日本と中国、どこを取っても保守的な印象の強い国ばかりなんだ」


「分かるよ、アリー」

「俺も──もういいかなって思ってる。」

大きく伸びをしながら、そんな事を言ったのはジュン。

昨日は寝てないのかな、可愛らしい顔には似合わない紫色のクマが出来ていてどこか不健康そうだ。……まさか、コカインとかはしていないって祈るけど。


「イルトが神宮会のトップの息子なら俺は山口組トップの孫、おめえはウラジーミルファミリーのトップの息子だ」

「結局、どこまで行ってもマフィアの子はマフィア……なんだろうなって思う。」


「その証拠が今の俺達の、この雰囲気と思いだろ」

「これが普通の家庭に生まれてたやつらなら、ヌナにされた事に腹立ってもクゥを殺さねえし、それでも足りないだ、ハンソン兄弟を殺りたいだ思わない筈だ」

「──仮に思っていても、それはダメな事だと理性が勝って夢を追いかける。」



「でも俺達ってやっぱりマフィアの子なんだよ。すげえ腹立つから、アイツらを殺ろうって思ってる。俺も他の四人も」

「そこにヌナへの愛が有る。なんていえば一見、綺麗な話しの様に思えるけど掘り返してみれば事の発端は裏社会独特のPPの取り合いなんだよな」

「で、俺達の血が騒いでる。『裏社会』っていうそのワードとヌナへの愛情が交差して」



もう四人とも上の空だ。まだマシなジェジュンでさえもいつもと様子が違う。

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