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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第12章 隠蔽工作は愛の味

やっぱり──こういう所は『若い男の子』と何一つ変わらないんだなと思った。

確かに気合いも根性も経験も他の同年代とは違うけれど、何か一つ崩れるといとも簡単に全てが終わってしまいそうなほど繊細な部分は年齢問わず男共通のナニか、なのかもしれない。


「ジェジュン、タバコ一本ちょうだい」

「どーぞ。」


灰皿も変えてないんだろう、あと二本か三本入れば良い方だ。

フィルターの色や銘柄の名前が違う四人分の苛々が、この灰皿に詰め込まれている様な気がした。



「今から言うのは独り言ね」

「──韓国MAフェスティバルの大トリの依頼が事務所に来たの。勿論、アンタらFBKに」


「………っ!」



「知ってると思うけどMAフェスは、ヨーロッパだけじゃなく全米にも生中継されるほどの規模。そんなMAのトリは、あのSfireでさえ過去に三回だけ」

「本来ならデビューして数年経ってミリオンヒットを連発してから依頼が来るのよ。──そんな凄い番組から、アンタらに依頼が来た、ねえこれってさアンタらの家族とかそんな問題を別にして、実力や才能を認められたってコトじゃないのかな」


「普通は事務所がお金を積む側なの、トリを取るために。」

「でもそれじゃ無理。だからSMもJYPもMAフェスのトリに関しては祈るしかないのよ。自分のグループが選ばれますようにって」


「アンタらは──」


「デビューして一か月ちょいで、そんな凄い話を持ってきた。まだミリオンヒットも達成していないし、Sfireの代表曲"age"の再生回数の半分もいってないのにね」

「それだけ韓国芸能界だけじゃなく、アメリカやヨーロッパの芸能関係者、音楽関係者が貴方たちに期待をして──そして、才能を認めてる」


「私、凄い嬉しかったんよ」


「あんなデキの悪い子達が、デビューシングルをロックにする。なんて言いだした時も一緒に頭下げてくれてさ」

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