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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第12章 隠蔽工作は愛の味
「ヒョン?いきなり何ですか、頭上げて下さいよ」
「いやっ、このまま喋らせてくれ。」
「だけど──俺らが気ぃ使いますって。まず何で俺らに対してヒョンが謝るのか見当もつかないのに」
「俺なガキなんだよ。だから自分の非を認めて誰かに頭下げるとか未だに恥ずかしいなって思う部分が有るんだ。だからこそ……ここでお前らの目ぇ見たら泣いてしまいそうで怖いんだよ」
「……」
「お前らの前で泣きたくない」
「俺はお前らの前でこそ"頼れるヒョン"で居なきゃダメだろ」
「リサ」
急に呼ばれた私の名前。
心なしか前よりも今朝よりも──優しい声色な様に思う。
「はい」
「俺……ヤキモチ妬いてた」
「お前の中で俺の優先順位が下がっていくのが怖かった。」
「デビュー前後の一か月、二か月はカナリ忙しい。気合い入れてやってみろ──偉そうに言ってただろ。……でも実際気合い入れれて無かったのも、どこかでお前に甘えてたのも全部俺だったんだよ」
「テテとアイを日本に行かせた時もそうだ」
「……ハンソン兄弟の事件に帝国ごと首を突っ込んだ時もそう。」
「いつでもお前は俺の言う事を黙って信じて、そしていつでも俺を一番に考えて行動してきてくれた。だからこそFBKのマネージャーになってもお前は俺の優先順位を下げる事無いって思ってた」
「だけど、違うかった」
「……それを悪いって言ってるワケじゃねえ」
「俺が勘違いしてたんだ」
「俺が惚れたのは"ハリウッドスターになるための手段は選ばない"なんてマリリンモンローの名言に惚れこんだお前なんだよ。」
「仕事とか目の前の事に必死になって、死ぬ気で努力するお前なんだ。」
「──それなのに俺は、まるでテテみたいに我儘になってた。小学生みたいだよな、俺から言い出した案にノッてくれたお前を結果的に苦しませることになった」
「しかもその理由は俺の理解が足りなかった、なんてよ」